先月下旬に Ryzen 7 5700X (Zen3) を購入しました。
既存 PC の CPU を Ryzen 5 2600X (Zen+) から換装するためです。
今更の Socket AM4 ですが、CPU 換装による既存環境の延命が目的です。
ついでに、ほんの少しだけ性能アップを期待しての購入です。
後述するのはその顛末です。
古い AMD 製 CPU は AGESA アップデートの対象外なのか?
今年 8 月、AMD 製 CPU のセキュリティ脆弱性 Sinkclose の存在が公開されました。
修正パッチの提供も開始されたのですが、古いモデルの CPU は対象外との事。
当初 AMD はソフトウェアサポート期間が終了した認識だったようです。
その後、デスクトップ向けでは Ryzen 3000 シリーズ以降が対象になりました。
私が使用してる Ryzen 5 2600X は、残念ながら修正パッチの対象外です。
....(事後の余談)
などと思ってたのですが、CPU 換装後 2024-10-30 にアナウンスが更新されました。
CVE-2023-31315 は ComboAM4PI 1.0.0.C (2024-10-17) で Pinnacle Ridge 等に対応してるそうです。
後は M/B メーカーから ComboV1 系の BIOS が提供されるかどうかでしよう。
私は既に BIOS を ComboV2 系にしているので、どちらにせよ CPU 換装を選択します。
現状に不満はないけど CPU 換装はアリかも
脆弱性について少し調べたところ、私の用途では緊急性を感じませんでした。
リスクが残るのは事実ですが、この度合いでは PC 環境の刷新まで考えられません。
仮に十数万円投資して Socket AM4 から Socket AM5 や Intel 系へ移行しても、今の私には過剰だと思います。
別件で記事にしましたが、私の用途では特に不満がないからです。
将来 AI を積極的に利用する機会が訪れたら、その時は CPU, NPU, GPU 等について総合的に見直したいところです。
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本当に今更な Socket AM4 ですが、2024年11月時点でも Ryzen 5000 シリーズの新しい CPU が発売されるくらいなので、もうしばらく AMD のサポートは続きそうです。
Socket AM4 に固執するつもりはないのですが、少しの出費で PC 環境を維持できるのであれば、より長く使えるよう CPU 換装も良さそうです。
内臓 GPU 不要であれば Ryzen 7 5700X が良さそう
件の修正パッチは B450 AORUS PRO WIFI も BIOS: F66d で対応済みです。
そして CPU 換装の予算ですが、基準を 25,000 円程度としました。
安いに越したことはないけど、数千円の差なら高くても性能が良い方を選択します。
換装を前提に、改めて私の用途や環境を吟味すると、ポイントはこんな感じです。
これらを鑑みて調査を進めたところ、私の環境には Ryzen 7 5700X が良さそうです。
当初は Ryzen 5 2600X に合わせて PCIe 3.0 な Ryzen 5 5600G が候補でした。
換装ではなく、新規ですべてを一から構築するなら選択してたかもしれません。
今回は環境を維持しての換装なので、予算枠での性能向上に重点を置きました。
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CPU サポートリストを確認したところ、Ryzen 7 5700X は BIOS: F62 で対応済みです。
- Zen+ から Zen3 による処理能力の向上
- コア数 / スレッド数は 6/12 (2600X) から 8/16 (5700X) に増加
- TDPは 95W (2600X) から 65W (5700X) に減少
- 実売価格は 24,000-25,000円付近で予算内 ※ 2024-10-20 時点
後は購入する・しないを含め、どうするかです。
急な販売価格の高騰、しかし Amazon だけ安い
その後、気が向いたらネットで CPU の価格を調べるようになりました。
積極的に購入するつもりはなかったのですが、為替レートの影響で価格改定が入るのは何度も経験しているので、調査は必要でしょう。
そんなある日。 夕方の時点での実売価格は 24,000-25,000 円付近でした。
その翌日。たまたまクレジットカードの更新があり、再登録ついで送料を確認しようと、5700X をカートに入れたところ、販売価格が約 30,000 円に跳ね上がってます。
慌てて利用してる販売サイトをいくつか確認したのですが、どこも同様です。
最も高額なところは 34,000 円以上の値がついてました。
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それから数日後、Amazon.jp に AMD の限定販売品を見つけ、それを辿ると、何故か送料込みで 24,380 円と安い価格のままです。
安く購入できるラストチャンスかもしれないと思い、即座に購入を決めました。
※ 2024-11-14 時点の実売価格は 23,000-25,000 円付近で落ち着いてます。
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今考えると自分でも焦りすぎな気がします。
しかし私には、このパターンで購入そのものを逃した、苦い経験があるのです。
今回は無事に必要なパーツを入手できたのでヨシ!と納得してます。
購入。直ちに換装
換装前に M/B の設定値を default に戻し、BIOS を F65 に更新します。
最新 BIOS のひとつ前ですが、Sinkclose 対策をどうするか決めかねてます。
必要なら F66d, 不要なら F66b だけど保留中です。
また、CPU を換装すると暗号化関連の構成が変更になります。
私はそれが嫌で暗号化関連は敢えて無効にしてます。
最近はデスクトップ PC でも暗号化を推奨してるけど、私的利用では暗号化までしたくないのが本音です。
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CPU の換装作業は何度も経験してるので、特に問題ありません。
ただ、6 年も構成を変えてない PC なので、グリスの状態が少し気になります。
念の為、グリスが緩まる事を期待して、OS のアップデートや memtest 等で CPU 負荷をかけ、CPU 周りを温めてから作業しました。
換装後に電源を入れると、ブラックアウト状態のまま何度か再起動・シャットダウンする事になります。
BIOS 画面が起動したら暗号化関連を再設定して、設定値を元に戻します。
後は各 OS の起動確認をすれば作業完了です。
CPU 換装後の所感
各 OS 環境は無事に動作してます。
正直なところ、体感速度はあまり変化してません。
CPU 換装と DDR4-3200 設定により処理性能は向上したはずですが、その程度です。
これは私の PC 構成による影響が大きく、換装前から承知してた事です。
元々、ボトルネックは B450 の SATA ポートに接続してる SSD なので、NVMe に移行すれば体感速度の違いを感じるかもしれません。
ただ、以前に HDD から SATA SSD への換装時、劇的な体感速度の向上を経験しており、その時の感動を超える事はなさそうです。
Windows 10 から Windows 11 にアップグレードし、その後 23H2 まで更新してます。
気のせいかもしれませんが、その都度もっさり感が増してるように感じてました。
現在はそのもっさり感が少し減って、Windows 10 時代に戻った感じです。
少し気になった事といえば、Windows 11 23H2 のライセンスはそのままアクティブ状態だったのですが、Office 2019 の起動時に再度ライセンス認証が必要でした。
別にライセンス違反はしてないので問題はないのですが、気にはなります。
KDE Plasma 6 の Wayland セッションでの話
私の環境では X11 セッションとほぼ同様の CPU 負荷に落ち着きました。
換装前は CPU 負荷が 20-50% くらいありましたが、今は数%未満で推移してます。
もしかしたら、KDE Plasma 6.2.3 にアップデートした結果かもしれませんが、快適なのは良い事です。
その他
所有する PC の中で最もコンパイルが遅く、M1 Mac mini に完敗する環境でしたが、CPU 単体の換装でも幾分かマシになりました。
ベンチマークテストのように具体的な数値は示せません。
とあるプロジェクトのビルドに 1 分数十秒要していたものが、 1 分未満で完了する程度には改善されてます。
単純にコア数が増加した恩恵とは思いますが、より速く完了するのは助かります。
思いつきと焦りによる CPU 換装でしたが、結果にはそこそこ満足してます。